
低血糖症とは正常な血糖値を超えて低い方に傾き様々な症状を呈する病気です。血糖値は食事などによって一日の中で常に変動していますが、正常な変動幅は、概ね70~120mg/dlの範囲だと言われています。しかし無理なダイエットや年齢、性別、妊娠などによって、健常者でも通常よりも低い値を示すことがあります。
このような時は情緒不安定になりイライラすることが多いようですが、食事や間食をすることで血糖値が正常の範囲内に治まるとすぐに改善します。低血糖症の場合は血糖値が正常域を逸脱して低くなっても症状が出にくい場合があります。したがって低血糖症を血糖値として数値であらわすことが困難であるのです。臨床の現場でも血糖値がいくつ以下を示したら低血糖症であるという断定はできないのです。
低血糖を引き起こす外的な要因としては糖尿病の治療薬によるものや空腹時のアルコール摂取、抗不整脈薬によるもの、極端なダイエットによる摂食障害などです。内因性の要因としては反応性低血糖と呼ばれる症状があります。これは胃ガンなどで胃の切除術を受けた後のダンピング症候群や胃下垂の人、またインスリンの感受性の高い人などに見られますが、食事の摂り方によってかなりの確率で予防が可能です。内因性の低血糖症で治療が必要とされるものはインスリノーマ(膵臓β細胞の腫瘍性増殖)によるものや平滑筋肉腫、肝癌などの腫瘍によるもの、インスリン自己免疫疾患の場合などです。血糖値が急激に下がると自律神経症状が強く出ます。症状としては空腹感、発汗、震え、動悸、口唇の乾燥などです。
一方血糖値が緩やかに下がった場合には中枢神経症状が強く出ます。具体的な症状は意識の混乱、挙動不審、集中力の欠如、眠気、ろれつが回らなくなる、頭痛、複視、痙攣、昏睡などです。低血糖症を示す血糖値と言うものが存在しないため確定診断は糖尿病に比べ困難です。しかし血糖値の測定は必須となります。血中のインスリン値やインスリン抗体を測定することでインスリン自己免疫性疾患の診断の指標になります。
また絶食試験によってインスリノーマの診断を行います。それ以外にも75gブドウ糖負荷検査やインスリン抗体ホルモンの測定などが行われます。またインスリノーマは膵臓の腫瘍によって引き起こさるのでCTやMRI、エコーなどで腫瘍の有無を調べます。低血糖に対する治療はブドウ糖の静脈注射、グルカゴンの筋肉注射(または皮下注射)を行います。またインスリン自己免疫症候群に対しては分割食を指導し、α-グルコシダーゼ阻害剤の投与を行います。インスリノーマに対しては腫瘍の治療が最優先となります。
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