
血液の成分の一つである赤血球にはヘモグロビンという成分が含まれています。ヘモグロビンは体内に酸素を運ぶ重要な働きをしています。ヘモグロビンには酸素と結合するヘムと呼ばれる物質とグロビンというたんぱく質から出来ている物質ですが、ヘムの合成には鉄分が必要です。鉄は胃酸によって吸収されやすい形となり、十二指腸や小腸から吸収されます。
吸収された鉄は約60%がヘモグロビン鉄に変わり、それ以外は主に貯蔵鉄に、その他血清、筋肉、酵素などに取り込まれます。健康体であれば体内の鉄の出入りはごくわずかでバランスが保たれています。しかし何らかの原因で鉄の需要と供給のバランスが崩れてしまうことで鉄欠乏症が起こります。体内の鉄分が不足するとヘモグロビンの産生が不足してしまい、赤血球1個あたりのヘモグロビン量が減少します。
そうすると赤血球が小さくなっていき小球性低色素性の鉄欠乏性貧血を発症します。貧血と呼ばれる病気の約90%以上がこの鉄欠乏性貧血だと言われています。貧血による体の各組織への酸素供給減少を補うために心臓は心拍数を増やして一生懸命血液を送り込もうとします。心拍数の増加は動悸や息切れ、易疲労感(つかれやすい)、めまい、倦怠感。顔面蒼白、頭重感、狭心症に似た胸痛などの症状があらわれます。
さらに組織鉄の欠乏が進むと爪がスプーン状になる、口角炎、舌炎、嚥下障害などが見られるようになります。血液検査で小球性低色素性貧血(MCV・MCHの低下)、総鉄結合能高値、血清鉄低値、貯蔵鉄を反映する血清フェリチン低値が認められた場合に確定診断が下されます。60歳以上の高齢者の場合、鉄欠乏性貧血の約60%が消化管がんなどの悪性腫瘍によると報告されています。
ですから便潜血や内視鏡による検査も必要となります。治療は鉄分の補給がメインです。鉄分を補う薬の処方もされますが、日常生活の食事を見直し、鉄分を多く含む食材を取り入れることが大切です。またほうれん草などに含まれる植物性の非ヘム鉄は吸収されにくいのですが、ビタミンCと結合することによって吸収されやすい形になります。その為、食事には鉄分だけでは無く必ずビタミンCも摂るように心がけましょう。
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